恒春園の百日紅(さるすべり)


   武蔵野の
    恒春園の
       百日紅


徳富蘆花(とくとみろか)の住居だった、
蘆花恒春園を訪れた。
恒春園は都立芦花公園の中にある。


蘆花は小説「不如帰」で知られる明治の文豪であるが、
私は「みみずのたはこと」「自然と人生」
などの彼の随筆が好きで何度も読み返している。
ロシアのトルストイに傾倒した彼の生き様は、
晴耕雨読
この「晴耕雨読」を知ったのも蘆花のお陰だ。


ひとたび、恒春園に入ると、
雑木林と竹林で鬱蒼としていた。
武蔵野蘆花恒春園は蝉時雨。
この世は蝉の世界になったのか?
そんな錯覚を覚える・・・


蝉の鳴き声といえば、
北欧からの旅行者が、
「日本には鳴く木があるのか?」
と問いかけたとか・・・・
北欧には蝉がいないので、
蝉の泣き声を木が鳴いているのかと、
彼の北の旅人は本気で信じていたらしい。


天気が急変。
俄かに墨のような黒雲が空を覆い驟雨となった。
しばらく大木で雨宿り。
水墨画のような雨の景色に、
百日紅の赤い花が印象的だった。


世田谷文学館にも足を伸ばし、
和田誠展 書物と映画』を観覧。
彼は水色の使い方が抜群。
タバコの「ハイライト」のデザインも和田誠
「ハイライト」の水色(コバルトブルー)も効果的。
小泉今日子主演の「怪盗ルビイ」のポスターが印象深かった。
ちなみに、この「怪盗ルビイ」は和田誠自身が監督をしている。