鬼平の名言


鬼平犯科帳」の長谷川平蔵には、
なかなか含蓄のある科白がある。


「人間というものはいいことをしながら悪いことをする
 悪事を働きながら善事を楽しむ不思議ないきものさ」


盗人の次郎吉(ガッツ石松)が、
瀕死の御坊から短剣を預かり、御坊の知人に届ける。
知人(江守徹)はたいそう喜び、
盗人次郎吉に軍鶏鍋と酒をご馳走する。


見ず知らずのお坊さんから短剣を預かり、
遠路信州から江戸まで届けた次郎吉は間違いなく善人だ。
しかし、盗人の次郎吉は悪人。
同じ人間のなかに善人も悪人もいる。
善悪で割り切れないのが人の業なのか・・・
「人間とは不思議なものだ」
そう鬼平中村吉右衛門)は、
妻(多岐川裕美)にしみじみ語るのだった。