コインパーキングに幻を・・・


会社の現場近くに嘗てあった、
よくお邪魔した沖縄料理店の跡を見てきた。
もう一年半前に閉店したのだが、
なんだか急に見たくなり足を延ばしたのだ。
お店はコインパーキングに変わっていた。


冬の寒い夜など、女将さんがメニューにない牡蠣鍋を作ってくれた。
カラダが温まり、とても美味しかった。
女将さんは元クラブのママ。
そのクラブを、元キャビンアテンダントのお嬢さんが継いでいた。
たまに出勤前にジーンズ姿で、女将さんの店に立ち寄ることがあった。
ある日など私を指差し、
「みーつけた」
と悪戯っぽく微笑んだ。
普段と違い、なんだか無邪気な少女のようだなと苦笑してしまった。


その二代目のママのお店もよく伺ったが、
彼女は諸事情で現在休職中。
初代のお母さんがクラブを切り盛りしている。
先日お邪魔したときは、ストレスから喉が枯れて、
とても痛々しかった。
客足は確実に減っている。
お店は二代目のママの時代のお客が主流になっている。
若い魅力的なママが休職中のため、
客足も必然的に落ちてしまっている。


お母さんの沖縄料理を食べて、
娘さんのクラブで飲んで楽しんだ日々が懐かしい。
でも多分そうした日々は、帰ってこないだろうと思う。
網膜に嘗てのお店が浮かんでいた。
残照のコインパーキングが感傷的だった。