ぬぐ絵画


東京国立近代美術館の「ぬぐ絵画」を鑑賞。
裸の人体の鑑賞は、明治以後に日本に謂わば輸入されたもの。
当初は試行錯誤もあり、
日本の美術界に裸体が根付くまで様々な騒動もあったとのこと。
作品を見ていて感じたのは、
洋画の裸婦の日本髪はどうも重そうでバランスが取れていないな、
という感想。
初期の洋画の日本髪のアンバランスは、
どこか日本人と芸術としての裸体(ヌード)が、
ギクシャクしていた時代を表象しているようだ。


黒田清輝の「智・感・情」は、ややマテリアルに裸婦を描き、
エロティシズムからは遠い存在、
理知的な印象で、人体図を髣髴させた。
彼の「花野」には明治の日本女性には珍しかった?
ギリシャ・ローマの女性のような八頭身の理想の女性が描かれている。
個人的には黒田清輝の作品では、
モデルの女性が若かりし頃の祖母に似ている「湖畔」に惹かれる。
「湖畔」の湖は芦ノ湖
モデルの女性は後に黒田清輝の妻となった。


一方で、和田三造の「南風」は、
力強いギリシャ彫刻のような理想化された半裸の男性が描かれている。
何故か、この絵を鑑賞しているうちに、
三島由紀夫の「潮騒」の青年新治を思い出した。
他に萬鉄五郎熊谷守一安井曽太郎などが展示されている。


館内にあったレストラン
「クイーン・アリス・アクア」が閉店になったのが残念・・・・
四季折々の皇居を眺めながら、
食事ができるレストランだった。