ヴィクトリア女王世紀の愛


東南アジアの旧英国領の国に駐在していた頃、
ブックストアで妙に気になる本があった。
それは英国史の豪華本であった。
その本は綺麗な挿絵や写真があり、
エリザベス2世女王陛下、
チャールズ皇太子とダイアナ皇太子妃の写真もあった。
そんな豪華な写真や挿絵の中で、
特に目を引いたのが、ヴィクトリア女王の若き貴婦人姿であった。
王子を抱く若きヴィクトリア女王は聖母のように微笑み、
傍らに佇む夫のアルバート公は、
女王と王子を優しく見つめている、
そんな絵だったように思う。
印象深い絵だった。
その豪華本に描かれたロイヤルファミリーを甦らせた映画、
まさにそれが「ヴィクトリア女王 世紀の愛」だった。


19世紀のイギリスは七つの海を制覇し「太陽が沈まぬ国」
と言われる繁栄を遂げた。
その礎を築いたのがヴィクトリア女王であった。
女王は弱冠18歳で玉座に着く。
そしてこの映画で初めて知ったのは、
求婚をするのは女王からで、
決して男性から求婚はできないことだ。


ヴィクトリアは英国王族の慣習に従い、
自ら求婚してべルギー国王の従兄弟アルバート公と結婚する。
政略結婚のためにベルギー王はアルバートを送り込んだのだが、
若きふたりのカップルは純粋に互いに愛し合うようになっていた。
そんなヴィクトリアとアルバートだったが、
互いを愛しながらも政治のことで対立もした。


アルバートルパート・フレンド)が、
ヴィクトリア(エミリー・ブラント)に国政の助言をすると、
「私は女王よ」「あなたは私の夫にすぎない」
と激しく拒否をし、聴く耳を持たない。
ある日、そんな女王に一発の銃弾が放たれた。
女王を庇ったアルバートは重症を負ってしまう。
「なぜ私をかばったの・・・」
泣きながら問いかけるヴィクトリア。
「君に変わる人間はいない、なぜなら君は女王だから」
「そして僕が君の夫だからさ」
アルバートの言葉にヴィクトリアは真実の愛を見出し、
夫と共に大英帝国を共同統治する。
愛は運命を変えたのだ。
ヴィクトリアは宣言する。
「祖国と民衆の為に人生を捧げます」