祝電


ある日、同業者から社長就任の挨拶状が届いた。
新社長とは面識はなかったが、
社長就任の祝電を送った。
その後、たまたまその会社とトラブルがあり、
その社長とお会いしてお話をする機会があった。
トラブルは双方話し合い、
社長と私との最後の会談になった。
そのときの社長の言葉を今も忘れることが出来ない。


「あなたに祝電を送っていただいたことは忘れません」
「実は社長就任の祝電をもらったのはあなただけでした」
「この件については祝電の礼ということで手打ちにいたしましょう」
私は社長の言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろした思い出がある。
そして「祝電を送ってたんだ・・・」
とあらためて思い返した。
実はそのとき私は、
社長に祝電を送っていたことを忘れていた。
一通の祝電がトラブルの解決に繋がるとは・・・・
人に敬意を表すことの大切さを痛感した出来事だった。