月下美人


    残り香の
     月下美人
       別れかな


    月下美人
     濡るるにまかせ
        匂ひ立つ
       


父は月下美人がとても好きで、
鉢植えで栽培していた。
ある日自宅を訪問すると、
「おい月下美人が咲いたんだ」
と笑顔で話していた。
もう純白の月下美人の花は大方萎んでいたけど、
残り香がしていた。
これがあの一夜だけの花、
月下美人なんだと感心したものだ。
月下美人花言葉は「儚い夢」
その月下美人を父は押し花にしていた。
一夜の花の美しさを永久に封印したかったのだろうか・・・