痛み・・・


昨日ひさしぶりに酒を飲んだ。
馴染みのお店のチーママが、
木蓮の涙」や「あざみの歌」を歌ってくれた。
父への鎮魂歌のようだなと思った。


カウンターにひとりのお客がいた。
ママさんとお話していたが、
男性なのか女性なのかよくわからない中性的な感じの方だった。
ショートカットの若いお客さん。
「男性なのかな・・・」
とチーママに聞くと、
「女性よ、あの子を見てると涙が出るの・・・」
そんなことをチーママがぽつりと話した。


ちょっと訳ありの女性のような気がした。
淋しさの極みでも笑顔でいるような、
でもそんなときこのお店にくるような・・・
そしてそんな彼女の思いをチーママは言葉を交わさなくても、
よく心得ているような気がした。
「人の痛みを自分の痛みにしてしまうのかな」
そんな思いが頭を巡った。