ブリザーブドフラワー


送別会の当日の事だった。
「送別会ではお花はいならいそうです、
でも女性ですし、やはり花を贈った方がいいんじゃないかと・・」
そんな相談が幹事の女性スタッフからあった。
「辞退の訳、聞いてみましたか・・」
と問いかけると、
「生花は何となく持ち帰るのが恥ずかしいし、
枯れてしまうので花はいらないそうです」
との答えだった。
そこで私から
「じゃあ、ブリザーブドフラワーなんかどうだろう」
と提案すると、
「いい案ですけど、デパートにあったお店、最近閉めちゃったんです」
 日比谷花壇とかにはあるんでしょうけど」
とのことだった。


送別をする女性スタッフには、私の秘書的な仕事もしていただいたので、
「ありがとう」という気持ちを込めて花は私が選ぶことにした。
そして造花との組み合わせの物は避けようと・・・
私はブリザーブドフラワーの店を探して、
ある専門店を訪ねた。
店主は女主人で、元フラメンコのダンサーだった方。
数々の素敵な作品があったが、
フラメンコダンサーをイメージした深紅のバラの作品がひときは目を引いた。


好みもあるだろうから、本人に直接聴くことにした。
「どんな色がいいの」
「淡い色がいいですね」
「そういえばバラの綺麗なのがあるんだけど、
 淡い色なら紅よりピンクのほうがいいよね」
「そうですね」
との返事だったのでピンクと白のデコレートしたものにしようと思ったのだが、
ふと黄色のバラが目に入った。
そういえば、彼女は茶系が好きだったことを思い出した。
そこでもう一度連絡を取り、黄色いバラがあることを告げると、
「ああ、黄色のバラいいですね」と華やいだ声が返ってきたので、
黄色とクリーム色のデコレーションの花に決めた。