優しい土


晩秋の深大寺を散策した。
深大寺は東京の郊外の調布市にある武蔵野の古刹。
深大寺の境内は七五三のお参りの家族連れが目立った。


深大寺近くには都立神代植物公園がある。
この公園は花と緑の楽園。
園内の雑木林を歩くと、
落ち葉に敷き詰められた土が軽いクッションになり、
靴底が柔らかい。
優しい土だなと思った。


   靴底の
    やわらかなりし
       落ち葉かな


そんな俳句が浮かんだ。


カエデ園の楓もちょうど見ごろになっていた。
圧巻だったのは、えびね園の赤褐色に色づいたラクウショウ(ヌマスギ)の大木。
ラクウショウは落葉針葉樹林。
銀杏も陽光を受けて黄色に輝いていた。
ダリア園のダリアも見事だった。
大輪のダリアは女王様のような豪華絢爛。
ハチがしきりにダリアの花に止まり蜜を吸っていた。


門前の蕎麦屋で天麩羅蕎麦と麦焼酎のお湯割りを注文。
店員から、
「注文のお品が揃ったら御引き換えにお代をいただきますので」
との説明があった。
昔のお茶屋のように注文の品が揃うと、
品代を払うところが、門前町の店らしい。
店内には大きな楢の大木が・・・


武蔵野の自然に抱かれながの一日だけの逃避行となった。