一枚の写真


NHKの連続テレビ小説花子とアン」を見ながら、
一枚の写真のことが頭に浮かんだ。
それは祖母の一枚の写真。
大正時代の日傘を持った祖母の写真。
祖母の髪型は二百三高地髷(にひゃくさんこうちまげ)
花子とアン」の花子(吉高由里子)も二百三高地髷だ。
このヒロイン花子は明治生まれの祖母とほぼ同世代だ。
二百三高地髷は、日露戦争の「二百三高地」からネーミングされた、
前髪を張出し(ちょっとリーゼントぽい)頭の頂部で髪を束ね、
高くまとめた髪型。
洋装にも和装にも似合う髪型として、
明治の末から大正にかけてご婦人に流行した。


当時祖母は19歳。
セピア色の写真の二百三高地髷の似合う大正美人の娘だった。
湯島に住んでいた祖母は、本郷の帝大の学生さんにも声をかけられたそうだ。
花子とアン」にも登場する、
大正三大美人の柳原白蓮(やなぎわらびゃくれん)ほどの美貌ではないが、
唇を少し噛みしめた祖母の娘時代の姿は、
清楚な大和撫子だった。
それにしてもあの一枚の写真はどこにいったのだろう。
タイムマシーンがあったら時空を超えて、
ティーンエイジの祖母に逢ってみたい。