三本のマッチ
岩波文庫の「フランス名詩選」をパラパラ捲っていたら、
ジャック・ブレヴェールの「Paris at night」に魅惑を感じた。
三本のマッチを一つずつ擦ってゆく夜の闇
一本目は君の顔全体を見るため
二本目は君の目を見るため
最後の一本は君の口を見るため
あとの暗がりは全体はそれをそっくり思い出すため
君を抱きしめたまま。
安藤元雄訳
映画のワンシーンのような詩。
ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが演じたらな・・・
暗がりで女を抱きしめながら、
顔、目、口と一本一本マッチを点けて女を見る男。
夜の闇とマッチの火が男と女の陰影となる。