圭さんと瞳子さん


「わたしがソファーに横になって携帯いじってたら、
気分が悪いと思って父が救急車呼びそうになったの・・
以前、パニック症候群になって父に救急車呼んでもらったことがあるの」


「父はわたしの作ったお弁当は完食するけど、
 用事があって他の人にお弁当を作ってもらったの、
 そのお弁当、父ったら残していたわ」


父娘で暮らしていた二人の女性が、
少し嬉しそうにそんな話していたのを、
日曜劇場「おやじの背中」を見ながら思い出していた。


圭(田村正和)と瞳子松たか子)は、
東京の郊外で静かに父娘で暮らしている。
ふたりは、父と娘だが「圭さん」「瞳子さん」と呼び合っている。
娘の瞳子は婚期を迎えているが、恋や結婚には無関心のようだ。
父の圭はそんな瞳子を心配しながらも、
娘との寄り添いながらの生活に幸せを感じている。
瞳子は料理上手で、父のお弁当を作るのが日課
ただそんな瞳子だが、彼女は母親の事故死以来、
パニック症候群になっていた。


この「おやじの背中」第一話の「圭さんと瞳子さん」は、
何となく小津安二郎監督の映画「晩春」を彷彿させる物語。
それにしても田村正和松たか子はいい味出してるな・・・


ふたりでハヤシライスを作るシーンがあったけど、
わたしも夕飯は洋食屋でハヤシライスだった。


物語の舞台は大岡昇平の小説「武蔵野夫人」の舞台になった国分寺の恋ヶ窪。
はけの湧水が清流となって流れる憧れの武蔵野の地。