戦争が廊下の奥に立つてゐた


本日9月18日未明に安保法案が成立した。
日本の安全保障の大きな転換となる。


日本の安全保障の歴史的転換点ということで、
私の頭に浮かんだのは戦前の日本の国際連盟からの脱退。
そして渡辺白泉のこんな俳句だ。


   戦争が 廊下の奥に 立つてゐた


リットン調査団の報告にもとづき、国際連盟が1933年(昭和8年)2月、
当時の満州国が日本の傀儡政権であると認定し、
日本が満州国承認を撤回することを求める勧告書を採択した。
その勧告を受けて松岡洋右ら日本の全権団は、
勧告を可決した総会の会場から退場した。

   総会勧告書を採択し
    我が代表堂々退場す

      四十ニ対一票、棄権一

全権団が総会の会場から退場したことを伝える当時の新聞の紙面。

日本は1933年(昭和8年)3月に国際連盟に脱退を通告した。


この国際連盟の脱退が戦前の日本の大きな転換点となった。


国際連盟脱退の後、軍需産業の隆盛などで景気が上昇傾向となる。
日本の本土では大陸で起きている満州事変などの戦争の存在は、
遠い所の出来事だったのかもしれない。
工業生産は1933年の111億6000万円から
1938年の252億5000万円に伸びて、日本は好景気となる。


一見平和な日本、だが注意深く廊下の奥を覗いてみると、
薄暗闇の向こうで戦争が立っているのかもしれない。