タクシーの中で


タクシーのラジオからニュースが流れていた。
「一億総活躍社会」
担当大臣を任命して安倍首相の肝入りの政策とのことだった。


「わたし福島県出身なんですよ。」
突然、60代とおぼしき運転手さんが話し始めた。
「そう福島県会津中通り浜通りのどちらですか」
と私が聞くと、
浜通りで、浪江に近いです」
「それじゃあ、原発事故で大変だったでしょう」
と私が尋ねると、
「わたしは、あの地震の時はもうこちらで働いていたので、
 原発事故の影響はないんですけどね。」
「福島に弟がいましてね、まだ仮設住宅に暮らしてます。
 一億総活躍社会かなんか知りませんけど、
 被災地の復興はまだまだですよ。」
そう憤りを込めて話されていた。


「一億総活躍社会」確かに素晴らしい社会だ。
 しかし、まず先の震災の復興が大切だと思う。
「女性の輝く社会」
もそうだけど、美辞麗句のスローガンもいいが、
市井(しせい)の人々の生活をどうするのか?


閣内の石破地方創生担当大臣も「一億総活躍担当大臣」の新設には、
やや意味不明との見解を出している。


「福島の復興なくして地方の創生なし」
「地方の創生なくして日本の創生なし」


そうしたメッセージが何故出せないのだろうか?
福島県出身の運転手さんが望んでいる言葉は、
そうした国のリーダーの力強い決意ではないか。