父のへその緒


父の遺品の整理をしていたら偶然、父のへその緒が出てきた。
父が生きていれば90歳になる。
90年前の父のへその緒。
祖母と父を繋いでいたへその緒だ。
祖母が大切に持っていたのだろう。
桐の箪笥の引き出しに仕舞ってあった。


祖母と祖父のツーショットの写真も出てきた。
祖父が亡くなったのは、
太平洋戦争が始まった1941年(昭和16年)だから、
このツーショットの写真は70年以上前となる。
祖父は、越前琵琶の名手だったそうだ。
犬養首相から表彰されたと祖母が話していた。
父も祖父の血筋からか、清元を趣味にしていた。
父のへその緒はわたしが預かり、仏壇に供えた。