母の寝顔


白内障の手術で、母が入院した。
母も今年傘寿(さんじゅ)を迎える車椅子の生活。
大事を取り、術後一週間ほどの入院となった。
先日、見舞いに病院を訪れた。


病室に入り、母に呼びかけると、
「はい。」
と言って起きたのだが、
すぐに「スースー」
と軽い鼾をかいて寝てしまった。
右目は眼帯が取れていたが、
左の目はいまだ白い眼帯をしている。
眼帯姿は痛々しかったけれど、
母の寝顔がなんとも無垢で、
子供のようだなと思った。
寝顔を見ていると、こちらも何だか安らかな気持ちになっていた。


ナースステーションで書くものを借り、
「元気出してな!」
「寝ていたのでメモしときました」
と書置きをした。


「ボールペンを貸していただきありがとうございました」
「母をよろしくお願いします。」
とナースステーションの看護婦さんにご挨拶をした。