お七絶唱


   朧夜の
    罪恋しがる
     紅をひく


   七夕の
    遣らずの雨と
     なりにけり


   蟬しぐれ
    礫となりて
      降りしきる


   曼珠沙華
    恋は火を呼ぶ
       お七呼ぶ


  こめかみに
   雪降りしきる
     お七かな



   己が身を
    焦がすにまかせ
        夕紅葉
   


   風花の
    鈴ヶの森に
      手を合わす