私の好きな街、其の弐


鎌倉、軽井沢は、ともに、文学者が、愛した街だ。
鎌倉の小町道りにある「ひろみ」という天婦羅屋は、
小林秀雄を始めとした、鎌倉文人が馴染みにしていた。
文学者は、食いしん坊、今時の言葉でいえば、グルメが多い。
私も、なんどか、おじゃましたが、実に感じの良い店であった。
何よりも、天婦羅は、熱々の、ころもがシャキシャキしたのを、
齧り付くにかぎる。
「ひろみ」の天婦羅は、鎌倉の楽しみのひとつだ。


軽井沢は、おしゃれな中に、どこか、クラシカルな雰囲気がある。
皇室御用達の、軽井沢テニスコートなどがある。
ジョン・レノンが泊まったという、万平ホテルも、
レトロにして、品格のあるホテルだ。
お茶を飲むのも良し、優雅なディナーを楽しむのも良し。
軽井沢は、川端康成堀辰雄など、文人の別荘も多かったところだ。
私は明け方や、夕暮れの、ゆっくりと、時が流れる軽井沢が好きだ。
一人で、散策して、哲学的瞑想に耽るのも、貴重な時間かもしれない。
もちろん、プリンスのアウト・レットモールでのショッピングも
女性の方には、心弾むひとときだろう。
そういえば、軽井沢駅も近代化した駅に生まれ変わった。
私は、昔のこじんまりした、高原の趣のある、軽井沢の駅が好きだったが・・・
東京の原宿駅にも、同じように、品のある建物という印象がある。
北原白秋のように、朝もやの軽井沢の落葉松を、散策したい。


サルビアの道の彼方の浅間かな」