紫陽花


 庭の紫陽花を切花にして、事務の女性が、
一輪挿しに活けてくれた。
彼女はスポーツ好きで、ショートカットの似合う、
活動的な方だが、花を愛でる女性らしい大和撫子でもある。
何よりも、さりげない季節の贈り物がうれしい。
活けた当初は、紫陽花の紫も淡く、清々しい印象を与えていた。
一週間程経ち、紫陽花の紫も濃くなり、
艶やかな藍色の花に変わっている。
紫陽花は、別名七変化とも呼ばれている。
謂い得て妙である。
一輪の花は、季節を感じさせ、
事務所に戻る私を、ほっとさせてくれる。
学生時代、後輩に、「結婚するならどんな女性がいいんだ」
と聞いたことがあった。
後輩の答えは、学生時代の私には意外だった。
「季節を感じさせる女性が、いいですね」
という答えだった。
可愛い子、とか綺麗な人だとか、
容姿を重視する答えを予想していたからだ。
確かに、男性はあまり季節を気にしないが、
女性は身近な物に季節を取り入れている。
後輩は、茶道の嗜みがある女性と結婚した。
季節を感じさせる、内面豊かな女性に違いない。
日々変わりゆく紫陽花の色が楽しみだ。
外は、鬱陶しい梅雨の季節だが、一輪の花に事務所は
和やかな空気に、包まれている。

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