原田知世

1975年頃、NHKの少年ドラマで「タイムトラベラー」
という番組があった。
中学生の少女が、理科の実験室の事故でタイムスリップの
能力を身につけてしまう。
毎日、学校から帰ると私は夢中で視ていた。
ラベンダーの花が好きになったのも、このドラマの影響だ。
好評だったのだろう、「続タイムトラベラー」も制作された。
この「タイムトラベラー」は、筒井康隆のSF小説「時をかける少女
を原作として制作されたドラマだった。
ドラマの終了の後、小説を読んだ覚えがある。
時をかける少女」は、私の心を神隠状態にした。
頭の中で、自由に空想が、駆け巡った。
そして、20年前、大林宣彦監督「時をかける少女」が上映された。
原田知世主演だった。
当時、角川映画全盛の時代であった。
薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」が、
ローティーンを中心に話題を呼んでいた。
原田知世はどちらかといえば、少々地味な印象があった。
大林宣彦は、そんな彼女に、最も適役の、
時をかける少女」のヒロインに抜擢した。
見事に原田知世は、主人公の芳山和子を演じた。
どこか、懐かしい雰囲気の少女を好演した。
その後、大林宣彦は、尾道三部作を制作する。
大林宣彦の言葉で、印象にのこっているのが、
この映画「時をかける少女」に、原田知世が復讐されるといったことだ。
復讐という言葉ほど、きつい言葉ではなかったかも
しれないが、そうしたニュアンスの言葉だったと思う。
つまり、スクリーンの中の彼女は、永遠の少女だ。
時が経てば彼女も大人になる。
あまりにも、原田知世=「時をかける少女」のイメージが、
重なり彼女を縛る。
20年が過ぎ、彼女から「時をかける少女」は消えたのか・・・・
大林宣彦の、あの眼鏡の奥の、一見優しそうな細い瞳。
しかし、その実は、鋭い映画監督としての眼光で、
俳優を見ているのだ。
大林宣彦の復讐、それも優しいまでに、残酷な・・・・・


 昭和の「セーラー服と機関銃」の星泉は、薬師丸ひろ子
  平成の「セーラー服と機関銃」の星泉は、長澤まさみ
  2006年10月13日よりTBS系金曜ドラマでスタート。