「純情きらり」達彦の自己疎外


戦争の心の傷跡に、苦しむ達彦(福士誠治
繊細な性格ゆえに、悩みも深い。
亡くなった戦友の肉親のもとへ遺品を届ける、つぐないの行脚をする。
生真面目な達彦は、自分が生きていること、そのことに嫌悪を感じている。
「自己疎外」を感じる達彦。
自分自身を奇異に感じ、その心的過程に気がつかない状態になっている。
所謂、疎外感に起因する、「強迫観念」の兆候がある。
達彦は、他者と親密な交流や信頼関係が、
麻痺した感情に支配されている。
それが、自分自身にたいする、自己嫌悪となり、
アパシーの症状となって表れている。
出征前、桜子に愛情を込めて、名前の「桜子って呼んでいいか。」
と言った達彦だが、
帰還後は、もとの名字の「有森」に戻っている。
達彦の心中に、桜子との距離があるのか。
桜子(宮崎あおい)は、どちらかといえば、楽天的だ。
綺麗な夕空を見つめ、
夕焼けは、戦争前、そして戦争の後も変わらず美しかった。
そんな、ハイデガーの「存在と時間」のような話をして、達彦を励ます。


たゆとうなき時の流れを、私も桜子の言葉から感じた。
海外駐在員として東南アジアに赴任していた時、
夕焼けのモスクから、コーランの祈りの声が、響き渡った。
異国の地で、日本にもこの夕焼けが繋がっているのかなと、
少々感傷的になったことを思い出した。


そして、いつもながら突然の冬吾(西島秀俊)の登場。
これからの「純情きらり」展開は如何に・・・・・



*昨日、マリア・シャラポアが全米女子テニスに優勝した。
トロフィーを高々と挙げたのはいいが、力を入れすぎて、
トロフィーの頭が取れてしまった。
その時の、少し照れたシャラポアの笑顔が、
19歳のお嬢さんらしく、初々しくかわいらしかった。