斉藤とも子

10月9日付け 朝日新聞の「ひと」の欄に
斉藤とも子の記事が、掲載されていた。
斉藤とも子は、私と同世代の女優で、NHK少年ドラマシリーズや、
中村雅俊主演「ゆうひが丘の総理大臣」の、優等生役の学級委員。
赤い絆」では山口百恵の健気な妹役と、
真面目な少女の役を演じていた。
そして、私が印象に残っているのが、NHK教育テレビ「若い広場」の、
「マイ・ブック」のコーナーだ。
毎回、小説家や文化人が自分に影響を与えた本や、
若者に推薦する本を紹介する番組。
斉藤とも子は、毎回ちゃんと課題の本を読破し、
作家たちと対談していた。
そのひたむきな姿勢に、当時の私は好感を持っていた。
五木寛之との対談が特に印象に残っている。
真剣にして純粋な知的関心を、斉藤とも子の眼差しから感じた。
その斉藤とも子が、原爆小頭症患者の記録や支援に、
取り組んでいるとの記事だった。


朝日新聞の、高波淳氏の記事をもとに、
斉藤とも子の「ひと」を紹介する。
原爆小頭症患者は胎内で被爆し、障害をもって生まれた方だ。
斉藤とも子は、そうした本人や家族の苦悩を、
「きのこ雲の下から、明日へ」という著作を上梓し、
日本ジャーナリスト会議の市民メディア賞を受賞した。
斉藤は、取材した母親の言葉に心を突き動かされる。
「我が子より一秒でも長生きしたい。」という切実な言葉に。
我が子を守る、懸命に生きる母の姿がある。
60歳の我が子と80歳を超えた高齢の親。
自分が亡くなれば、誰が子供を守るのか・・・・
そんな、切実な気持ちの発露が、この重い言葉にあるのではないか。


斉藤とも子は、大検を受け3浪の末、38歳で大学に入った。
社会福祉士で2児の母だ。
マイ・ブックの澄んだ瞳は健在だ。
なんだか、ひさしぶりに合った、憧れの同級生が、
変わらず純粋なままだったような、
安心感と嬉しさにも似た気持ちを、この記事を読み感じた。