原宿雑感
同潤会青山アパートが消えてから、原宿に訪れていない。
青山アパートは、原宿の象徴的建物だった。
表参道の街路樹と、蔦の絡まった外観と古い外壁が、
独特のレトロな雰囲気を醸し出していた。
若者の街原宿は、ハイティーンの竹下通りと、少し大人の表参道。
そんな異なる街並みが、沢山の人々を集めていた。
1975〜6年頃、「あこがれ共同体」というドラマがあった。
原宿を舞台にしたファッションデザイナーを目指す、
若者達を中心にドラマは展開する。
当時のアイドル郷ひろみ、西城秀樹、桜田淳子、が出演していた。
三田佳子が、桜田淳子の姉の役で、原宿でブティックを経営していた。
郷ひろみは、マンションメーカーを立ち上げようとする、
ファッションデザイナーのタマゴの役だった。
早朝の表参道を郷ひろみが、
マネキンを担いで走るシーンが印象的だった。
青山アパートは、原宿の顔であったことは確かだ。
街の風景が一つのブランドであることは、
ヨーロッパの都市を見ても明らかだ。
フランスのパリ、オーストリアのウィーンにしろしかり。
青山アパートも、原宿のブランドの一躍を担っていたと思う。
最後に原宿を訪れたのは、四年前だ。
クライアントに提出する企画書を、徹夜で校正をした。
企画会社での、校正も終わり、家路に着くため外に出ると、
夜明けの原宿の裏通りは、静寂に包まれていた。
私の中で、仕事をやり終えた爽快感と疲労による脱力感が、
奇妙なハーモニーを奏でていた。
夜明けの表参道は人も車も少なく、広々としており、
なんだか、ぺーブメントを独り占めしているような気分になった。