ダリ展


東京上野の森美術館で、生誕100年記念「ダリ回顧展」を鑑賞した。
一言でいえば、面白かった。
「私はダリでしょう?」という駄洒落のメッセージが、
なんだかコミカルだった。
ダリといえば、あのピンと伸びた口髭が特徴だ。
若い頃の写真は、ダンディーな紳士であつた。
印象に残った作品は、「子供ー女の記憶」「パン籠」「世界教会会議」
などである。
初期から最晩年の巨匠の足跡は、見ごたえがあった。
奇抜な構図に、まず目を見張った。
アインシュタインの物理学に影響された、時空の世界。
とろけたチーズのような時計。
観る者は、ダリ特有の表現に魅了され、魔術にかけられてしまう。


今回の「ダリ回顧展」では、妻のガラの認識を新たにした。
妻のガラは、芸術家ダリにとって創作の女神(ミューズ)であった。
ガラは、もとは詩人のポール・エリュアールの妻であった。
ダリとガラの二人は、稲妻に打たれたように愛し合う。
ダリは女性に対して、ある種のコンプレックスをもっていた。
その、コンプレックスから、ダリを精神的に支えたのはガラだった。
ダリにとって、ガラは唯一無二の女性であった。
日本の文学界での、小林秀雄中原中也、中原の恋人との、
三角関係を思い出した。


超現実主義(シュールレアリスム)とはなにか?
無意識を表出させることの意味とは・・・・
哲学的にダリの迷宮の出口を見つけようとしても、
なかなか見つかるものではない。
それこそ、駄洒落ではないが、「私はダリでしょう。」
とギョロ眼に髭のサルバドール・ダリに言われそうだ。


ダリの絵画から繊細な画風を、私は感じた。
ダリ展に、若い女性客が多いのも、
そんなダリのナイーブさにあるのかもしれない。
勿論、「ダリ回顧展」のスペシャルサポーターである、
爆笑問題の人気もあるだろうが・・・
ダリの才能は絵画だけでなく、映画芸術にも活かされている。
「アンダルシアの犬」やグレゴリー・ペック
イングリッド・バーグマンが出演した「白い恐怖」の制作に参加している。
太田光田中裕二とも芸術関係の大学、日大芸術学部に入学している
爆笑問題太田光も、映画好きだ。
映画監督の小津安二郎や俳優の松田優作を熱く語ると、止まらなくなる。


それにしても、今日の東京は氷雨で寒かった。
午後2時で、気温5度だ。