永遠の夫婦


倒れて、左手が動かなくなった一豊(上川隆也
甲斐甲斐しく面倒を見る千代(仲間由紀恵
一豊の病は重かった。

「年をとって良いことは、忘れたいことを忘れることです。」
高台院浅野ゆう子)の言葉は、なかなか含蓄のある言葉だ。


徳川家康西田敏行)は、征夷大将軍を嫡男秀忠(中村梅雀)に譲り、
将軍職を世襲制として、徳川体制を磐石にする。
一豊も病を押して参列する。
山内一豊は、決断する。
「山内家は豊臣と縁を切る。」
弟の康豊(玉木宏)をはじめとした重臣に宣言し、一豊は再び倒れる。


「千代、あれでわしの遺言はよかったかのう。」
やっとこれから、安らかな二人だけの暮らしができると、千代は訴える。
数々の命がけの戦を回想する一豊。
「よくぞ、われらは生き延びたのう。」
「千代と出合ったのが開運じゃ。」
夫唱婦随で歩んだ思い出を語る、一豊と千代。
「私たちは日の本一の夫婦になるのです。」
と千代。
「喉が渇いた。」
と一豊。
口移しで水を含ませる千代。
一豊は、千代の腕の中で息を引きとる。
一晩、愛する一豊に、添い寝をする千代。
千代は、髪を切り仏門に入り、見性院と名乗り京都に住む。


一方で、家康が動く。
豊臣家は徳川に臣下の礼を取れと脅す。
高台院の命を受け、千代は淀(永作博美)を説得をしに行く。
「子を守るは母の務め。」
秀頼(石黒英雄)は上洛して、家康と対面する。
家康は秀頼の若さに嫉妬する。
大阪夏の陣で、秀頼、淀親子は絶命し、大阪城は炎上する。
その1年後、75歳で徳川家康は亡くなる。
戦で亡くなった者の、魂を鎮めるため、千代は各地を行脚する。
若き日の、千代をおんぶする一豊との、夫婦仲睦まじき姿。


今も世界のどこかで、戦がある。
戦のない世を願った千代の思いは、永遠の願いである。


  『この乱世汝れ見届けよ今生の愛しき人の言の葉胸に』


千代と一豊の二人を自作の短歌で、詠んでみました。
乱世が平定され、血で血で洗う戦乱の世が収まるまで、
千代は、亡き一豊の許にはゆけぬと誓った。
愛しき人の思いを胸に刻み、乱世が終わった、
徳川幕藩体制を千代は見届けた。


*「功名が辻」では、脇役ではあるが忍者子りんの、
 長澤まさみの演技が光った。
 初めて悪女を演じた長澤まさみ
 ひと回り、演技の幅が広がったように思う。