白虎隊


「昔は、男子は十五歳で元服したものだ。」
明治生まれの祖母は、中学の私に言い聞かせるように話した。
祖母は、白虎隊についても、実際に会津に赴き現地を見てきた。
うら若き少年が、桜の花のごとく戦場で散る。
祖母の父親は江戸時代の末期、慶応元年生まれだ。
世は戊辰戦争の頃。
私にとって、幕末から明治維新とは歴史の教科書の世界だった。
しかし、自分の親が生まれた時代と重なる祖母にとって、
白虎隊の存在は、身近な出来事であったのかもしれない。


「男子は十五歳で元服したものだ。」
ふとその言葉が甦ることがある。


「白虎隊」の前編を視た。
ジャニーズ事務所の少年達と、ベテラン俳優がキャストとして起用されている。
小林稔侍、東山紀之若村麻由美和久井映見野際陽子等、
ベテラン陣は、演技派ぞろいだ。
松平容保役の、東山紀之は、細面(ほそおもて)にして繊細な雰囲気が、
会津藩松平容保と、よく似ているなと思った。
写真で見た若かりし頃の容保公は、ジャニーズ系の美男子だった。


会津藩士酒井峰冶に山下智久と篠田儀三郎には田中聖
藩校で学ぶ彼らは、凛々しくひたむきだ。
峰冶が、母の病を治そうと薬草を採ろうとして、
崖から落ちたとき、激しく母しげは叱る。
峰冶の母親しげ役の薬師丸ひろ子の言葉が胸に残る。


「立派な死に方をすることじゃ。」
「立派な死に方をすることは、気品のある死に方をすることじゃ。」
「気品のある死に方とは、気品のある生き方をした者にある。」


母しげは、過酷な時代を生きる峰冶ゆえに、厳しい教育をする。
しかし、心の中では、
今度生まれてくるときもまた、自分のもとに生まれてきて欲しい、
と願う優しい心根の母親でもあった。


「死んでいく者の痛みは一瞬、残された者の痛みは一生。」


峰冶の父親(高嶋政伸)の言葉が胸に染む。