葬儀


先日、会社の所長のご母堂様の弔問に伺った。
彼は、私の部下で明朗なスポーツマンだ。
彼は、とても母親思いの息子さんだ。


ご母堂様は、まだ60代の、お若い身での旅立ちであった。
春だというのに、外は寒風の冬のような陽気。
御焼香をし、通夜振る舞いで軽く食事をして、お邪魔しようとしたとき、
赤ちゃんを抱いた女性が立っていた。
女性は、所長の奥さんだった。
「今日は本当に来て頂きありがとうございました」
赤ちゃんを抱いた奥さんの言葉が、胸に響いた。
そして、あどけない瞳で私を見つめる赤ちゃん。
何か胸にこみ上げるもを、私は感じていた。