邦楽の一日


4月29日の昭和の日、邦楽を鑑賞する。
邦楽は、毎年鑑賞している「日本橋くらま会」の発表会。
会場は、日本橋三越デパートの三越劇場
日本橋の粋な旦那衆や女将さんが、自慢の喉をご披露する。


7月には浅草の、雷ゴロゴロ会館で発表会をする。
年二回の発表会。
私は、浅草での発表会も、毎年鑑賞している。
浅草の発表会の方が、土地柄か庶民的な雰囲気がある。
浅草芸者の踊りも見られ、下町情緒たっぷりだ。


日本橋での発表会は、三越劇場ということもあり、
華やかな雰囲気がある。
今回、連休の中での発表会のためか、例年よりお客さんが少なかったようだ。
番組は、小唄、清元、長唄、端歌、常磐津などバライティーに富んでいる。


私は、小唄と清元を堪能させて頂いた。
小唄は、「山中しぐれ」「一声は(月)」「江戸の人」を聴かせて頂いた。
糸と唄がよく合っており、玄人はだしの芸でした。


清元は「玉屋」
「玉屋」の作詞者は、二代目瀬川如皐(じょうこう)
作曲者は、初代清元斎兵衛(一説に、清元栄治郎)
内容は、しゃぼん玉売り(玉屋)を題材にした風俗舞踊。
しゃぼん玉売りは、江戸では、「玉や ゝ」と売り声をかけたという。
私が好きな「玉屋」のくだりは、


『恋の暗闇辻行燈の、陰で一夜は立ち明かし』


『折りも賑はふ祭礼の、山車の木遣りの風につれ、
 エンヤリョー いとも畏(かしこ)き御代に住む、
 江戸の恵みぞ(有難き)』


私は長唄、「鷺娘」のこんなくだりも胸に染み入る。


『吹けども傘に雪もって積もる 思ひは泡雪の消えてはかなき恋路とや』


現代にない七五調のきれいな日本語がある。
何よりも言葉に、情緒がある。
艶やかな清元節に、しばし江戸情緒に浸ることが出来た。


特筆すべきは、上調子が清元延知寿(のぶちず)であったこと。
彼女は、人間国宝であった故清元志寿太夫のお孫さん。
東京芸術大学で、邦楽を学ばれたそうだ。


おみやげに、銀座の「鹿の子」のお菓子と手拭い、
男物と女物の扇子を頂いた。


お昼は三越の「吉兆」で食べようと思ったが、40分待ちということで、
グレース・ケリー展」を観覧した。


グレース・ケリーは、アメリカ、ハリウッドのトップ女優で、
後に、1956年4月18日にレニエ公と世紀の結婚式を挙げ、
モナコ公国の公妃となる。
ラ・プリンセス・グレース・ド・モナコの誕生。


ブロンドの髪の美しい、麗しく理知的な美貌の女性。
今回の展示会では、「花を愛したモナコ公紀」をテーマに、
グレース公紀のプレスドフラワー(押し花)を紹介している。
アーティスト、グレース・ケリーの作品に驚かされた。
彼女は、花の中でも、取り分けバラを愛した。
バラの押し花を、数々制作している。
グレースのアトリエも、そのまま展示されており、
興味深い見学となった。


また、グレース公妃のワードローブでは、
ドレス、帽子、バッグ、スカーフを展示している。
あの、エルメスのケリーバックは、グレース・ケリーが、
妊娠したお腹を目立たないように、隠したことから「ケリーバック」と、
呼ばれるようになった。
グッチが1966年、グレース公妃のためにデザインした、
花柄のスカーフ「フローラ」は奇麗だった。
ドレスや帽子は、どれもクラシカルでエレガンスな趣味の物が多い。
華やかな宴でも、彼女はひときは輝いていたことだろう。


「吉兆」では、ミニ懐石を注文。
懐石料理の中で、カレイの焼き物、蛍烏賊白味噌和え、
帆立の炊き込みご飯が、特に美味しかった。
春らしい料理に舌鼓を打った。
器も春らしく、目で楽しむことができた。
ただ、エビスビールがなかったのが、少々残念だった。