『白い巨塔』


今日は、自宅でDVDを視ていた。
山崎豊子原作、田宮二郎主演の「白い巨塔
やはり、財前五郎田宮二郎


他の出演者も、新劇出身の重厚な役者だ。
中村伸郎太地喜和子も良い味をだしている。
山本学の里見助教授も適役。
島田楊子、上村香子、小沢栄太郎曾我廼家明蝶もなかなかだ。


中村伸郎の東教授は、いかにも、代々続く国立大学の医者の家系らしい。
石坂浩二の東教授より、国立の医大教授の重みを感じる。
ブルジョワ的にして、プライドの高い教授を演じている。


財前五郎の愛人、ケイ子役の太地喜和子も、知的色気がある。
黒木瞳の愛人役も、雰囲気があったが、太地喜和子も素晴しい。
機転の利く、正義感のあるホステスを、太地喜和子が好演している。


田宮二郎の鬼気しに勝る演技が光る。
財前五郎田宮二郎か、
田宮二郎財前五郎か、
二人がまさに、一体になっている。
財前五郎が、田宮二郎に憑依したようだ。
唐沢寿明財前五郎も良かったが、
田宮二郎の迫力には、及ばないのではないか。


佐分利信も大学教授を演じている。
この俳優は、財界の重鎮や官僚、そして大学教授など、
社会的地位の高い職業が、まことによく似合う役者だ。
あの、独特の低い声に、重みと威厳を感じさせる。


原作が発表された、1966年は東大闘争が、
まさに、医学部から始まった時代。
やがて時代は、全共闘運動へと高揚してゆく。
旧態依然とした、白い巨塔に改革の波が押し寄せて来る。