冷やし中華の季節


俳句の季語に、冷やし中華はないが、5月の初夏ともなれば、
冷やし中華の季節だ。
店先に『冷やし中華はじめました』の張り紙があると、
嬉しくなる。


1975年頃、ジャズピアニストの山下洋輔、SF作家の筒井康隆
中州産業大学のタモリが、真剣に冷やし中華について、論じていた。
彼らは、「全日本冷やし中華愛好会」(全冷中)を立ち上げている。
彼らの冷やし中華の薀蓄の深さは、流石の一語に尽きる。
大人の男が、冷やし中華について、これだけ熱く語るとは凄いと思った。


冷やし中華は、関東では「冷やし中華
関西では、「冷麺」「涼麺」
北海道では、「冷やしラーメン」
と呼んでいるそうだ。


ちなみに、冷やし中華の元祖は、仙台の北京料理「龍亭」と言われている。
現在の「龍亭」の冷やし中華は、麺と具が別盛。
しょうゆだれ、胡麻だれそれぞれついている。
具は、錦糸卵、ロースハム、くらげ、蒸し鶏、きゅうり、チャーシュー、
など、オーソドックスなものだ。
昭和12年に始めた当初の冷やし中華は、
キャベツなど野菜をふんだんに使った物だったそうだ。


私は、しょうゆだれも胡麻だれも好きだが、
最近は胡麻だれが多い。
よく行く中華店の、冷やし中華胡麻だれが絶品なのだ。
店は、けして小奇麗とはいえず、
女性があまり好まない店内の雰囲気だ。
ところが、行きつけのクラブのホステスさんと話していたら、
その店で食べたことがあるとのこと。
奇遇だなと思った。


冷やし中華はじめました』の張り紙が待ち遠しい今日この頃だ。