別れのハンカチ


先日、日頃お世話になっている、クラブのホステスさんが辞められた。
20年以上、ママに仕え働かれた方。
真面目に務められた彼女は、会社なら永年勤続賞だろう。
人の出入りが激しい水商売のなかで、
一筋に務められたことに、敬意を表し、
私からホステスさんに心ばかりの餞別を贈った。
律儀なホステスさんで、お洒落なハンカチをお返しに頂いた。
彼女の最後の出勤の日、私はお見送りをして、最後の労いをした。
握手をしたとき、涙ぐんでいた彼女が印象に残っている。


NHKの朝の連続テレビ小説どんど晴れ」で、
老舗旅館の仲居頭(あき竹城)が、女将見習い(比嘉愛未)の落ち度から、
責任を取らされ、暇となり出て行く場面があった。
仲居頭は、30年の長きの間、老舗旅館一筋に仕えてきた。
今は所帯を持つ長男(東幹久)も子供の頃から、
彼女を母のように慕っていた。
涙ながらに辞めるなと、子供のように泣きじゃくる姿に、
思わず、涙腺が緩んでしまった。


ふと私の中で、ホステスさんの最後の日のことが思い出された。
ベテランホステスの引退と「どんど晴れ」の仲居頭の別れの場面が、
二重写しになった。
ホステスさんの、お別れのハンカチ、大切に使いたい。


*「どんど晴れ」で草笛光子宮本信子、ベテラン女優が好演している。
草笛光子は、山口百恵の「赤い衝撃」で、百恵ちゃんの母親役を演じていた。
草笛光子のラジオ番組も聴いていた。
宮本信子は、映画「マルサの女」もさることながら、
石立鉄男と共演のドラマも視ていた。