白い巨塔


白い巨塔」のDVD5巻を視る。
関西の名門国立大学教授、財前五郎が主人公。
ドラマの中での大学名は、浪速大学となっている。
ある日、財前教授(田宮二郎)の母きぬ(中北千枝子)が田舎から訪ねてくる。
因みに中北千枝子は、長らく日本生命の、ニッセイのおばちゃん役をしていた。
巨匠成瀬巳喜男監督作品の名脇役でもある。
財前教授の、医療ミスで告訴された記事を新聞で読んで、心配になり、
居ても経ってもいられなくなり、14年ぶりに息子に逢いに来る。
母親は、息子の財前が養子であることで、
息子と会うことを遠慮をしていたのだ。
財前教授は、14年ぶりに合った母に家に泊まるよう誘うが、
しかし、母親は親戚の家に泊まると、遠慮する。
財前は、京都見物でもしたらと、母を説得する。
母を見つめる財前の姿は、優しい息子の眼差しだった。


そうした中で、財前は、愛人のホステス、ケイ子(太地喜和子)に、
母親の京都見物の同伴を頼む。
ケイ子は、もともと医学生で医者を志していたが、
志半ばにして、医師になることを諦めた。
一緒に二人は旅館に泊まり、四方や話をする。
記念写真では、写真家に母と娘と見間違われ、
お互い顔を見合わせて微笑み合う。
ケイ子は、すでに両親とも他界しており、
京都見物をするうち、財前の母に思慕の念が湧き始めていた。
ケイ子は、田舎出の純粋な心を持つ財前の母に、次第に親しみを持ち、
そして、女医であると紹介されている自分が心苦しくなる。
そして本当の自分を打ち明ける。


「わたし、医者なんかじゃないんです、実はホステスをしてるんです
お母さまビックリなさったでしょう」


「いいえ、あなたは良い方です」


ほほえみ溢れた眼で、財前の母きぬはケイ子を見つめた。
財前の母は、肩書きでなく、人間を本質で判断する。


一見クールなケイ子ではあるが、情が細やかな女性。
太地喜和子は、知的だが、それでいて人情に厚い、ホステスを好演している。
どこか、太地喜和子自身とダブル役柄。
何よりも、ケイ子も太地喜和子も惻隠の情のある女性。