役の重み


「副代表なんてやるんじゃなかった」
そんな愚痴が、電話であった。
私が、代表を務めている企業体の副代表からだった。
彼からすれば、組織に乗っかっている他の構成会社の方が楽だし、
役員をやってもなかなか自分を、評価してもらえない不満もあるだろう。
会社の仕事をしながらの、無報酬の役。
しかし、役の責任はズシリと重い。
私も含めて、励ましの言葉で役員のヤル気も沸くが、
執行部は、批判も受けやすい。
企業体の構成会社の利害の調整の難しさもある。


「一緒にがんばんりましょうよ」
との、私の言葉に、
「今のは冗談、冗談」
と明るく、副代表は応えていた。


企業体は、構成会社が10社で、60人程の従業員が働いている。
8月より仕事の受注が増える。
売上増で喜ばしいことなのだが、
反面、人手不足が、大きな壁になっている。
人員の募集をしているが、なかなか従業員が集まらないのが現状。
何度も会議を開き、各社で知恵を出し合っている。



副代表は60歳前後、顧問が70歳。
若輩者の私を、こうした経験豊かな先輩方が、盛り立ててくれている。


どちらかと言うと、会社の私より、
企業体での仕事のスタンスは、攻撃的だ。
待ちより攻め。
「攻撃は最大の防御」
だと思っている。
各社に利益をもたらし、従業員の雇用を守るのが使命。


事業の拡大と、人手不足、
副代表と共に、難局を乗り切らねばならない。


この難局を乗り越えたら、暑気払いをやることにを、
企業体の各社で申し合わせた。