雷5656会館


浅草の雷5656会館で、女剣劇浅香光代さんをお見かけした。
若い30前後の男性と60位の男性と三人で、
クリームソーダを飲んでいた。
私は、何故か知り合いでもないのに、目礼してしまった。
彼女も軽く会釈してくれた。
以前より、一回り小さくなられたような気がした。
浅香光代さんに合うとは、浅草らしいなと思った。


浅草、隅田川沿いの旦那衆の邦楽の会、
ほおずき会を観覧に、浅草に出かけた。
その発表会が、雷5656会館のときわホールで開催された。
清元、大和い手向五字「子守」を聴かせていただいた。
「子守」は、軽快飄逸な「はね物」の舞踊曲。


作詞者は、増山金八
作曲者は、初代清元斎兵衛



子守の娘が油揚げをさらった鳶を追いかける態で、
「オロシ」の鳴物を伴奏して、舞台の上手から走り出て、
本舞台で転んでしまう。
この小娘は、越後出の娘。
越後踊りから故郷を思い出す。
そんな子守の娘の心情を、清元「子守」から引用してみる。


   お前越後か わたしも越後
   お国なまりが出てならぬ
   新潟出る時や涙がでたが
   今は新潟 夢も見ぬ


ふるさと越後への、望郷の念を持ちながら、
「今は新潟夢も見ぬ」と、強がる子守の娘の心が切ない。


お客様の中には、銀座のママかホステスさんと、思しき女性、
楽屋には、浅草芸者の御姐さんもいて、華やいだ雰囲気。
ある、歌舞伎役者のお嬢さんも観覧にいらしていた。
女優の檀れい似のお嬢さんでした。
檀れいは、元宝塚の娘役。ポスト黒木瞳との世評もある。
木村拓哉と映画「武士の一分」に共演していた、清麗な雰囲気の女優。


清元を堪能した私は、
浅草の見番近くの、「弁天」という蕎麦屋に入った。
もり蕎麦、板わさを肴に、冷酒を飲んだ。
お客の浴衣姿のご夫人が二人、水木佑花(みずきゆか)の、
鷺娘の話をされていた。
「とても奇麗だったわよ。」
と、おひと方が感想を話されていた。
日本舞踊の話が、おそば屋でさりげなく交わされているところが、
浅草寺の観音裏、浅草花柳界らしいなと思った。



帰り道、浅草寺に向かって歩いていると、薬局があり、
長澤まさみのポスターが、貼られていた。
商品購入者には、無料で配布してます、との張り紙があった。
思わず心が動いたが、買わずに浅草寺方向に歩いていった。