様式美


ルキノ・ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」「家族の肖像」など、
ヴィスコンティ作品には、絢爛とした様式美がある。
ヴィスコンティ映画は、映像芸術であり、類希(たぐいまれ)な美術品でもある。


フランスの象徴派詩人、マラルメの詩のような難解、
晦渋(かいじゅう)、そして華やかさ。
マラルメエクリチュールは、必然的に光りだす。


先日訪れた「東京モーターショー」でのこと。
素晴しいデザインのクルマには、黒山の人だかりが出来ていた。
スタイル抜群のコンパニオンの魅力よりも、
むしろ、クルマその物の魅力で、人々を惹き付けていた。
クルマそのものにカメラを向けていた。
そうした、クルマには、一様に様式美のような物を感じた。
クルマは単なる機械ではなく、美術品の領域に入っていた。


ヴィスコンティのクラシカルな、目くるめく様式美。
最新モデルのクルマの無駄のない、それでいてセクシーなボディ。
クルマは美となり、必然的に輝きだす。
アナログとデジタルの止揚を見る思いだ。