人生について考える寓話


色々な事件がマスコミを通して、報道され、
私達に伝達されている。
それは、譬えていえば洪水のようだ。
一度に、情報の洪水がドッと押し寄せ、
洪水が去った後は、何も残らない。
あの、事件はなんだったのか?
私達の、心の沃土になるのではなく、
むしろ、無味乾燥な精神にさえなることもある。
朝からのワイドショーのこれでもか、これでもかという、
殺人事件の放送に、閉口してしまったと言う外国の方もいた。


さて、私は、安東みきえ著、下和田サチヨ絵の、
「頭のうちどころが悪かった熊の話」を読んでいる。
七つの寓話が収められており、大人も楽しめる絵本。
人生の酸いも辛いも経験した人には、
共感をする方も多いのではないか・・・・
私も、いわさきちひろなど、絵本は好きなほう。


「どうせまた寝ることになっているのに、
 なぜ起きなくちゃいけないんだろう?」
       「池の中の王様」より


理屈っぽいお玉杓子は、親に対して、なんでも否定するが、
急にさみしくなったり、自分を食べようとしたヤゴと友達になったり、
様々な体験をする。


寓話は、洪水のような情報とは違い、
物事の本質について、読み手が、考えることを必要とする。
現代社会は、予定調和になりつつある。
予め、筋書きが決まったドラマのように、事件をあつかうことさえある。
絵本は、絵を見ながら癒され、文章を読みながら考えさせられる。
読書の秋を実感する、絵本。