桜島の誓い


今回の「篤姫」では、今和泉島津家の於一(篤姫 宮崎あおい)の言葉に、
島津本家家老、調所広郷平幹二朗)が、
深く己の人生を考える場面が、印象的だった。
平幹二朗は、同じ大河ドラマの「樅の木は残った」で、
原田甲斐を好演している。
伊達騒動の中、原田甲斐も自らの役目に、殉じた武士であった。


藩の財政改革を強引に進め、藩士、領民から反感を買う家老の調所(ずしょ)。
調所は、於一に自らの「役割」を強調する。
於一は、更に役割を越えたところで、分かり合えないかと説く。
於一の論法は、弁証法のようだ。
対立ではなく、お互いの立場を、より高次なものへと統合できないか。
調所は「天命」と答えて、於一に残す。
調所の心の奥にある、純粋さ。
それを本能的に察した於一。
この「篤姫」では、それぞれの人間が、自らの「役割」を、
強く自覚し、幕末の動乱を生き抜く姿を描いている。


初回での於一の母、お幸(樋口可南子)の言葉、


      「この世のものには、
       すべて役割があるのです。
       それは人とて同じ」


この言葉、「篤姫」に込められたテーマのような気がする。


於一は、後に島津斉彬高橋英樹)の養女、篤姫となり、
徳川13代将軍、家定に嫁ぎ、公武合体の礎となる。
彼女は、対立ではなく、常に融和、高次なものへの統合を目指した。