カウンターの会話


先日、一人でカウンターで飲んでいると、
隣の席のお客さんから話しかけられた。
何度かお店でお合いして、
お顔は知っていた。
この方は、絵を描いてお店に持ってこられていたこともあり、
常連のお客さんの中でも印象に残る方だった。


その日も、黒のタートルネックのセーターを着て、
なんとなく画伯のような雰囲気だった。


しばらく二人で絵の話をしていた。
ダリ展や渡辺淳一の「阿寒に果つ」の話などをして会話が弾んだ。
その方は、人物画を描かれているそうで、
展覧会などにも出品されているとのことだった。
このお店のホステスさんも描いたことがあるそうだ。


「ママさんが絵心があり、
ご自分で描かれた絵をお店に飾ってある、
落ち着いた雰囲気のお店を知ってますよ」
と私がお話しすると、
興味を持たれたようで、
「ご一緒したいですね、奢りますよ」
といたって乗り気だった。


その方は、最後に石原裕次郎の、
「北の旅人」をお歌いになり帰路につかれた。
そういえば、裕次郎も絵の才能があったそうだ。
彼の好きな画家はサルバドール・ダリ