2013-06-29 出航(SASURAI) ショートストーリー ブラインド越しの深夜の摩天楼。 男は食中花のようだと思った。 男は寺尾聰の「出航」(SASURAI)を聴いていた。 記憶のパンドラの箱が開き、 あるひとの匂いが突然甦った。 「おまえの匂いは記憶の彩りだけど・・・」 ちょうど、そのフレーズだった。 「香水ってその人の匂いで変わるのよ」 そんな謎かけ言葉と艶めかしい匂いが記憶の彩りとなっていた。