出航(SASURAI)


ブラインド越しの深夜の摩天楼。
男は食中花のようだと思った。
男は寺尾聰の「出航」(SASURAI)を聴いていた。
記憶のパンドラの箱が開き、
あるひとの匂いが突然甦った。
「おまえの匂いは記憶の彩りだけど・・・」
ちょうど、そのフレーズだった。
「香水ってその人の匂いで変わるのよ」
そんな謎かけ言葉と艶めかしい匂いが記憶の彩りとなっていた。