ふたりの英子


昭和の女優でふたりの気になる英子がいた。
それは武原英子と梓英子。
ふたりはけして主演を張る女優ではなかったけれど、
私の中でキラリと光る昭和の女優さんだった。


武原英子は、にしきのあきら夫人でもあった。
50歳の若さで乳癌で他界された。
武原英子はショートカットがお似合いの、
鼻筋の通った知的な感じの美人だった。
彼女は、森田健作主演の「おれは男だ」の女教師役が印象的だった。
危なく男子生徒にレイプされそうなシーンがあり、
当時、子どもながらドキドキしてしまった。
ドラマ「だいこんの花」の小料理屋の娘役の武原英子もまたいい。
働き者で父親思いの娘、
何よりも幼馴染の誠(竹脇無我)に想いを寄せる彼女が意地らしかった。


梓英子は何と言っても、
西郷輝彦主演の「どてらい男」の山下猛造の妻、
茂子の役が本当に素晴らしかった。
苦難を乗り越え会社を興す二人三脚の夫婦の姿に感銘した。
梓英子は小柄で、可愛い感じなのだが、
大和撫子の強さも身に着けているような女優だ。
こんな茂子のような女性と結婚できたらいいなと思ったものだ。
「どてらい男」では、
主人公、猛造の「恋女房」そんなことばがお似合いの茂子を演じていた。
「幸せにしてくれるひともいい、
 でも私はこのひとなら苦労してもいい、そんな男と添い遂げたい」
そんな科白がピッタリのひたむきな女性を演じていた。