花の乱(自句自解)


日野富子は天下の争乱、
応仁の乱を引き起こした悪女とされている。
その日野富子を主役にしたのが、大河ドラマ花の乱」であった。


   青々と
    椿の燃ゆる
      闇夜かな
    


日野富子室町幕府八代将軍足利義政の御台所(正室)
ドラマでは少女時代を当時17歳の松たか子、成人してからを三田佳子が演じた。
そして義政の青年時代を同じく17歳の市川新之助(市川海老蔵)が演じ、
成人してからは、新之助の父、市川海老蔵(市川團十郎)が演じた。
初々しい梨園の若き二人の共演となった。


義政と富子の出逢いは、王朝の夢幻の如しであった。
陰陽師によって義政の愛用の琵琶に富子の黒髪が結ばれる。
琵琶を弾く義政は浅い眠りの中、白日夢のような夢を見る。
それは五條の橋で美しい姫と出逢う夢だった。
不思議なことに、富子も五條の橋で凛々しい公達と出逢う夢を見ていた。
同じ夢を見た義政と富子。
まさに夢の浮橋の出逢いだった。


      一本の
       黒髪結ぶ
        平家琵琶


義政と富子の出逢いから10年の月日が経っていた。
幕府の宿老と能を鑑賞する義政は、
扇子を口元に翳し、妻の富子に囁く。
「決めたよ、私は隠居することにする。」
この29歳の将軍義政の一言が大きな波紋となり、天下の争乱の切っ掛けとなる。


八代将軍義政には跡継ぎの男子がなく、
出家していた弟の義尋(ぎじん)を還俗(げんぞく)させて、
将軍職を継がせることにする。
ところが、富子は満月に願を掛け、義政の子を身ごもる。
そしてその子は男子だった。


    満月に 
     身籠りたまえ
        願掛けし


このことから、弟の義尋(義視)と実子の二派に分かれ、
将軍の跡目相続の争いが起こり、
この世の生き地獄となる、あの応仁の乱となる。