團菊祭五月大歌舞伎

團菊祭五月大歌舞伎を観覧した。
演目は、


傾城反骨香(けいじょうはんごんこう) 将監 閑居の場 近松門左衛門
保名(やすな)
藤娘(ふじむすめ) 二世藤間勘祖振り付
黒手組曲輪達引くろてぐみくるわのたてひき) 浄瑠璃「忍岡変曲者」


久方ぶりに歌舞伎観劇をした。
当時私は、祖母のお供の歌舞伎見物で、まだ中学生であった。
確か、歌舞伎座ではなく、明治座での観覧であったと思う。
助六」や「藤娘」を観たような気がする。
正直、あまり楽しいものではなかった。
十代の私にとっては、野球観戦やアイドルのコンサートの方が、面白かった。
それでも、豪華な衣装や独特の節回しと、美味しい幕の内弁当などが、
印象に残っている。
さて、今回の演目で印象に残ったのは、
尾上菊之助の「保名」と市川海老蔵の「藤娘」の、二人の舞踊である。
「保名」は音羽屋ゆかりの作品であり、
「藤娘」は、江戸の荒事の本家である成田屋海老蔵が、可憐な藤の精に、
挑戦している。
舞踊に関して、音羽屋の伝統芸と成田屋の新たな挑戦を、
観覧出来たことが、今回の歌舞伎の収穫であった。
菊之助の父親ゆずりの端正な顔立ちと、しなやかな所作が、
恋人を失った、保名の乱調の美しさを、流れるように表現していた。
海老蔵は、大柄な身をやや持て余した観もあるが、艶やかな藤の精を、
よく好演していたと思う。
いずれにしても、若手実力者ふたりの、今後の活躍が楽しみだ。
幕間にお見かけした、
海老蔵の御贔屓なのか、演目に合わせて、四十代ぐらいの御婦人が、
見事な藤の帯を締められていたのが、お洒落に見えた。
最後に特筆すべきは、
大和屋、坂東三津五郎の絵師の又平の、洒脱な演技が光っていたことだ。
三津五郎演じる絵師の又平に、役者としての円熟味を見る思いがした。


坂東三津五郎は「功名が辻」で明智光秀を好演している。


★人気blogランキングへ★