ゼロ金利解除と純情きらり


日本銀行は、7月14日金融政策決定会合ゼロ金利政策を解除し、
市場の短期金利の誘導目標を実質0%から0.25%に引き上げた。
今回の利上げは、前回の金利解除以来、5年11ヶ月ぶり。
解除に合わせ日銀は、景気認識も、従来の「着実に回復」から
「穏やかに拡大」と改め、持続的成長が続くとの認識を強めた。
定期貯金1000万の利息の1年後は、0.08%から0.15%と
なり1年後の利息(複利)は、8000円から15000円(税引き前)
となる。(朝日新聞、7月15日朝刊記事による)


7月14日、15日と日本列島は猛暑とゲリラ的な大雨に見舞われた。
うなぎ上りの気温ほどではないが、私たちの貯金の利子も幾らか上がる。
しかし、いい事ばかりではない。
住宅ローンなども同時に上がり、私たちの生活にも様々影響を及ぼす。
また、米国の景気後退も懸念材料だ。
何事も、米国と連携を取る日本が、景気後退まで仲良くする必要はない。
日本の株も、ここ数日の天候のように不安定であり、乱高下ぎみである。
経済の状況論を書いたけれども、いづれにしろ、ゼロ金利解除は、
いつかは、通らなければならない道であった。
何故なら、今までが異常な金融状態だったのだから。


以前、城山三郎の「男子の本懐」を読んだことがあった。
金解禁という重要な金融政策を断行した、
浜口雄幸首相と井上準之助大蔵大臣を題材にしたノンフィクションだ。
浜口首相の仇名は、ライオン宰相。
ライオンのニックネームでは、小泉純一郎首相より先輩だ。
小泉総理、福井日銀総裁の決断は、
「男子の本懐」に値するのか、重要な局面である。
私が何よりも望むのは、経済のバランス感覚である。
日本銀行の本分が、
物価の安定と金融システムの安定にあることを踏まえ、
優先順位を明確にして、金融政策を実行することだ。
景気を回復させることなのか。
貯金、住宅ローンなど、本来の金利に戻すことを優先するのか。
結論からいえば、日銀は当分、再利上げは控え、景気の下支えのため、
金利を続けざる負えないのではないか。
経済の低迷を、バブルの所為だけにする時代は終わった。
自立した経済理念の確立が、肝要なのではないだろうか。


*NHKの連続テレビ小説純情きらり」で、日本が戦争に突入し、
 統制経済となり、八丁味噌の原材料の大豆の値段も統制されてしまう。
 桜子(宮崎あおい)やかね(戸田恵子)は、大豆の価格統制をさせないよう
 政治家に頼んだり、海軍省八丁味噌の営業に行ったり東奔西走をする。
 当時の庶民生活に、国の経済政策が身近に関わっていたことを、
 番組でよく描いていた。
 そういえば、昔ながらの、「山長」の八丁味噌にこだわるかねたちに、
 「味噌は味噌にかわりないわ」と、
 店の存続を第一と、合理的判断する桜子に、
 したたかな女将の片鱗を見た。


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