出世脱落


一豊(上川隆也)は、わずか300石の加増しか与えらずふてくされる。
登城もせず、悶々とした時を過ごす。
そんな、一豊を千代(仲間由紀恵)は励ますが、一豊の気は晴れない。
出世競争で、同僚や後進に追い抜かれることは、
現代のサラリーマン社会でも、よくあることだ。
取り分け、人事と昇給はサラリーマンにとっては、最大の関心ごとでもある。
一豊もまた、同僚や後輩に追い抜かれ、上司である秀吉(柿本明)の
低い評価に、甚く自尊心を傷つけられたのだ。


自暴自棄になった一豊を心配する千代は、法秀尼(佐久間良子)に相談する。
法秀尼は、息子の性根を正すため、厳しい言葉を浴びせる。
「浮世の愚痴から逃るるは、死ぬのが一番じゃ。」
「己の心と闘うしかないのじゃ。」
法秀尼は、かなりのスパルタママだ。
最後は脇差で、我が息子を刺そうとする。
千代が、自ら一豊の楯となり庇う。
さすがの一豊も、法秀尼と千代の捨て身の説得で、改心する。
一豊、千代、法秀尼の三人は互いの手と手を取り合うのだった。
佐久間良子の、ベテラン女優らしい貫禄ある演技が光った。


茶々(永作博美)が好演をしていた。
もとは、アイドル出身の永作博美だが、演技は確かな物がある。
瞬きひとつせず、三成(中村橋之助)を凝視するところでは、凄みを感じた。
「そなたがこの手を温めよ」
「引き裂かれた心をそなたが、縫い合せよ」
茶々の言葉に、知恵者の三成もタジタジになる。
女の情念が、男の理性を振りまわす。


今回の「出世脱落」は、水戸黄門の歌のような、ストーリーだった。
「後から来たのに、追い越され、
 泣くのが嫌なら、さあ歩け」
 といったところか・・・・・
なかなか植木等の「無責任男」のようにはいかないのが、世の常だ。


*庭の藤の花と、千代の藤色の着物のコラボレーションが見事だった。
 千代は、なかなかのファッション・センスのようだ。
 千代は季節を感じさせる女性だ。


中島美嘉の「雪の華」の詞を想いだした。


『甘えとか弱さじゃない
 ただキミとこのまま一緒にいたい』


『もしキミを失ったら
 星になりキミを照らすだろう』


千代と一豊、互いの思ひは、この「雪の華」の詞のようだと思った。


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