『羅の恋文結ぶ煙管かな』 (うすもののこいぶみむすぶきせるかな)

羅(うすもの)は、盛夏のころ用いる絽(ろ)紗(しゃ)明石、透綾(すきや)
など薄絹で作った単衣(ひとえ)を言う。
婦人ものが多く、いかにも綾羅・軽羅といったすがすがしさを感じさせる。
夏のご婦人の羅は、薄羽を纏った蝶のように美しい。
煙管(きせる)に恋文を結ぶ絽の着物、どこか粋な逢瀬がお似合いだ。


『撫子の娘の恋の一途かな』 (なでしこのむすめのこいのいちずかな)


撫子(なでしこ)は、秋の七草のひとつであるが、
夏のうちから淡紅色五弁の花が枝に咲きつづける。
まれに、白色もあるが、花弁の辺に糸状の花爪を具えたその花の姿は優美で、
石竹を唐撫子と言うのに対して、大和撫子の名もある。
大和撫子と言うと、日本女性のおしとやかな印象があるが、
芯強き花でもある。
世の中や、男性にただ従うだけの花ではなない。
私のなかでは、ひたむきな娘の姿を撫子から感じる。
女優の長澤まさみが、「大和撫子」を目指していると語っていた。



*夏の季語、羅(うすもの)と撫子(なでしこ)を兼題にして、
 俳句を作ってみました。


*季語の解説について、「基本季語500選」山本健吉を参考にしました。


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