掌の蛍に映る妹かな (てのひらのほたるにうつるいもとかな)

火垂るの墓」、毎年終戦記念日になるとアニメが放送されるが、
このドラマは、昨年戦後60年を記念して制作されたものだ。
『兄ちゃん、おおきに』
妹、節子の今生の言葉に涙する。
そんな場面を、俳句に活写しました。
兄の掌(てのひら)の蛍が、妹のあどけない顔を照らす。
蛍のごとく儚い節子の一生。
たまゆらの命ゆえ、胸の奥に痛みのまま鮮やかに残る。
戦争を生きる松嶋菜々子夏川結衣が、ひたむきで綺麗だと思った。
そして、戦争を実体験で知る岸恵子のナレーションが印象的だった。
男達の戦争は女達の戦争でもあった。
のみならず、子供たちの戦争でもあったのだ。


『火垂ると天に召さるる妹かな』 (ほうたるとてんにめさるるいもとかな)


*昭和20年3月10日の東京大空襲のとき、亡くなった祖母が、
アルバムだけを胸に抱いて逃げたと語っていたことを思い出した。