故フォード大統領


故フォード米国大統領が、イラク戦争を痛烈批判していたことが報道されていた。
イラク戦争を推進した、ラムズフェルド前国防長官、チェイ二ー副大統領は、
ともに嘗てフォード前大統領の側近であつた。
フォード政権で、ラムズフェルド氏は首席補佐官から国防長官へ、
後任の首席補佐官がチェイ二ー氏だった。
フォード前大統領は、自分の死後なら報道しても良いことを条件に、
ワシントンポストの記者のインタビューに応じ、
イラク戦争を正当化するブッシュ政権を批判した。
「いま私が大統領を務めていれば、イラクとの戦争を命じなかったろう」
ブッシュ政権への痛烈な批判をしている。


1974年8月、ウォーターゲート事件をきっかけに辞任した、
ニクソン大統領の後任として、副大統領のフォード氏が、
第38代アメリカ大統領に就任した。
選挙を経ないで米国大統領になった、特異なケースである。
故フォード大統領は、泥沼状態だったベトナム戦争の幕引きをしている。
一方で、ニクソン氏を特赦したことで批判も浴び、
76年の大統領選に出馬したが、現職が有利な大統領選で、
民主党新人のカーター氏に小差で敗れている。
故フォード大統領の思い出は、1974年に米国で初めて、
日本に公式訪問したことだ。
当時多数の学生がヘルメットを被り、フォード来日阻止のデモ行進をしていた。


奇しくも、革新陣営の顔であった、社民党田英夫氏が引退する。
もともとは、報道番組のキャスターであったが、ベトナム戦争をめぐり、
米国を批判したことで、自民党が反発。
番組を降板して、1971年の参議院選挙全国区でトップ当選した。
硬直化した左翼思想というよりも、リベラルな印象があった。
マルクス主義社会党左派とは相容れず、
菅直人氏らと社民連を結成している。
引退に際しての弁は、
「戦争を忘れちゃいけない」だ。
故フォード前大統領、田英夫氏とも、社会に木鐸を鳴らす良識派だった。
最近の評論家は、激して物事を語る割りに、
説得力に欠けてはいまいか。
最悪なのは、人の話を傾聴せず、一方的に捲くし立てる事だ。
そんな世相の中だからこそ、
頑固な良識派が望まれる2007年ではないだろうか・・・・