勘助の筋書き

戦国の世とは、喰うか喰われるかの厳しい世の中。
武田に降伏した諏訪頼重（小日向文世）は、妻の禰禰（桜井幸子）
と共に、甲府に護送される。武田家当主の晴信（市川亀冶郎）は、
頼重の嫡男の寅王丸こそ、諏訪家の当主だと言明する。
それは、取りも直さず、頼重の存在そのものを否定することを意味した。
頼重は潔く切腹する。
愛する夫を、禰禰は実の兄によって、自決させられたのだ。
禰禰は慟哭する。

桜井幸子演じる禰禰は、彼女の柔らかい雰囲気と、よく合っている。
全て、山本勘助（内野聖陽）の筋書き通りとなった。
ただし、由布姫（柴本幸）と出合った勘助は、
当初の考えを翻し、布由姫を救う。
勘助と由布姫の運命の出会いは、やがて武田家の命運を左右する。
山本勘助演じる内野聖陽は、勘助が己に憑依したが如く、殺気を感じる。
千葉真一演じる板垣信方は、戦国武将らしい風格がある。

美しい女性、中でも運命に翻弄される高貴な女性に、
勘助は心を奪われる。
そして主君に対するように、献身的に働く。
勘助の心の鏡は、儚げな女性を写す鏡。
ミツ（貫地谷しほり）の面影が、勘助の女性像を支配する。
　　　　『軍師は女神に弱い』