鈍感力


今日は、休暇を取る。
外は雨。
のんびり家で、寝たり音楽を聴いて過ごそうと思う。
何もしないことも一日。
井上陽水ではないが、「白い一日」あるいは「白いページ」
の時間も芳醇な時空となる。
ビッシリと書かれた予定に満足を感じることがある。
やることがあることで、安心を求める。
仕事ホリック症状となる。
私も、会社の新年度早々、重要な得意先でのトラブルの対応、
業界の役員改選等で、東奔西走した。
4月は、あっという間だった。
そんな中で、渡辺淳一著「鈍感力」は色々参考になる本だった。


其の壱 「ある才能の喪失」の中で、
それぞれの世界で、それなりに成功をおさめた人々は、
才能はもちろん、その底に、必ずいい意味での鈍感力を秘めている、
渡辺淳一は、主張する。
「鈍感」とは、まさしく「才能」とまで断言する。
城山三郎なら「打たれ強い」といった表現になるのだろうか。


私が共感したのは、「図にのる才能」のエピソードだ。


「バーのママの一言」の文章に、渡辺淳一のエピソードが書かれている。


渡辺淳一は、何となく自信のないときや不安なときに、
ぶらりと一人で行くバーがあった。
ママ一人でやっているこじんまりとした店構え。
ママは大柄でソプラノのような明るい声の女性。


「どうも、自信がないんだけど」
と、渡辺氏。
すると、ママは必ず大きな声で、
「大丈夫よ、あなたは才能があるわよ」
それと同時に、渡辺氏の肩を大きな手でずんと叩いてくれる。
「ママが、大きな声でいってくれたのだから、大丈夫だ」と
渡辺氏は、自分で自分にいいきかす。


渡辺淳一の結論は、
自信のないときや迷ったときに、あれこれ、じくじく考えてみたところで、
どうにもならない。こういうときはつまらぬことは考えず、
もっと大胆に、自信をもって前にすすむべきだ。
人間は、褒められるから頑張るのだ。
そして、図に乗ることで、更に才能を開花させるのだと説く。


私も、仕事や業界の協会活動で、思い通りにならないとき、
一人で飲みに行くときがある。
気心の知れた小料理屋やクラブの女将やママは、
厳しく優しい。
甘やかさず褒めてくれる。
女将やママの言葉は、
私の明日の活力だ。